――“Live”をキーワードに、広い意味で“生きること”と、“ライヴ”についてお尋ねしていきます。INORANさんにとって、まず、ライヴとはどういうものですか?
ライヴは、前回の“Trace(軌跡)”でも話したように、音楽活動のルーティーンの中に入っているし、ものすごく自分を成長させてくれた場所だよね、いろんな意味で。やればやるほど、どんどん「もっともっとやりたい!」と思うもので、何も褪せないし、どんどん輝きを増すし。それをすると思うだけで眩しく感じる…そんな場所ですよね。
――ライヴはかけがえのない場所、ということですね?
うん、そうだね。
――これまで長く音楽活動を続けて来られて、ライヴに求めるもの、ライヴに向かう気持ちや捉え方が変わった時期ってありますか?
いやぁ、それはもう、時期によってしょっちゅう変化してる。その時々にやりたいライヴがあって、それを求めて、挑んで。完成はしないけど、できる限り達成できるように進んできているだけかな。それでいいと思うんだよね。
――音源の制作とライヴ活動、単純に比べられるものではないと思いますが、INORANさんにとって両者にはどんな違いがありますか?
違いはあまりないですね。どちらを作る過程も楽しいし、出来た時の満足感も変わらないと思う。どちらも人と作っていくものだから。
――ライヴこそが生き甲斐、というミュージシャンもいますが、そうでもなく、やはり両方同じように大事ですか?
うん。ファンの人たちが同じ空間にいる・いないという違いはあるけど、あまり変わらないと思う。(ファンの人たちが)その先にいるから(音源も)作っているわけで。それと、俺の場合、レコーディングも、妥協しないで突き詰めてずーっと作っているというよりも、ほとんどライヴみたいな作り方だから、というのもあるかな。テイクを重ねないので。
――なるほど。では、続いて“生きること”について伺います。INORANさんが日々の暮らしの中で“生きている”と強く実感するのはどういう瞬間ですか?
“生きてるなぁ”と思う時ですか? そういう意味では、ライヴのある瞬間だったりするかもしれないですね。普段の生活で言うと、朝かな?
――朝は1日が始まる、という感じですか?
そうだね、うん。
――では、生きていく上でINORANさんにとって一番必要なものは何ですか?
何だろう? 「これがなきゃ死んじゃう」ってことでしょ? 無いですね。「これ」という答えはまだ分からないです。
――ひと言で答えていただくのは難しい質問ですよね。
そうね~。「音楽がなきゃ死んじゃう」っていうものでもないし、それはなんか嘘っぽいなと思っちゃう(笑)。もちろん、なきゃ嫌だけど。まだまだ探し中ですね。
<interview & text by Tae Omae>