――「今思えば、あの時が人生の転換期だった」と感じる時、INORANさんにとってのいわゆるターニングポイント、転機を挙げていただくことはできますか?
“あの時”というよりはもう、基本的に“毎日がターニングポイントだ”と思って生きてる、ぐらいな感じになりたいよねぇ。
――たしかに、そうありたいですね。
ま、その理想は置いておいて。軽く言うなら、いつだろうなぁ?
――もちろん、長い人生、キャリアをお持ちなので、1回ではなく複数回あるとは思うんですけれども。
うーん……ドラマティックに言うのであれば、「FINAL ACT」(LUNA SEA THE FINAL ACT TOKYO DOME/2000年12月26日・27日、東京ドーム。このライヴを最後に終幕)の時だよね。でも、それをこうやって言えるのはやっぱり、今ちゃんと5人でいられてるから、というのがあるし。
――そうですよね…ソロで本格始動されてからしばらくは、「もう、あのことには触れない」というスタンスでしたよね?
うん。それは、「そうやって生きていこう」と思って、決心したからですよ。一回捨てたわけですから。もちろん、実際は捨ててはいないんですよ? でも、やっぱり多感な頃だったので。まだ30歳だったからね。「俺はこう見られたい」とか、「~しなきゃいけない」という決意で、みんなあの決断をしたわけで。だから、それを証明する生き方をしなきゃいけないわけで…そう思っていたから。だから、俺は若干不良になりましたけど(笑)。
――(笑)その時期から今に至るまでいろいろな変化があり、人生を重ねていくうちに、「FINAL ACT」の捉え方、位置付けも変わってきたわけですね。
そうですね。だから、全部が合っているし、全部が間違っていて間違ってない、というか…そういうことですよね。何にも捉われないで生きていければ、多くのこと、いろんなものに出会えると思うんですよね。カッコよく言っちゃえば、ですけどね。
――“これ”と決めてしまうよりは、もっとオープンな心でい続けることができれば、新しい出会いもある、と。
うん、それが自分の、INORANっていうミュージシャンの特性であり、支えてくれる人たちに対する使命なんだと思う。もちろん、同じものをずっと続けるのも全然、それはそれでいいんですよ? それをやっている人がいるから、「俺は違うことをやる」ってことであって。唯一の、自分ならではの、っていう意味においてね。そういうことかな?と思う。そして、それを教えてくれるのは…やっぱりLUNA SEAという存在はデカいですよね。Muddy ApesもTourbillonもそうだし、日々の暮らしもそうなんだけど。LUNA SEAは、ことあるごとに、それを俺に気付かせてくれるんだよね。
<interview & text by Tae Omae>